顔に自信がないまま婚活していた私が、プロフィール写真を選べなかった話
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写真フォルダを開いて、また閉じた。どれもぴんとこなくて、かといって撮り直す気にもなれない。友達との集合写真から自分だけを切り取ってみて、やっぱりやめる。そうやって、登録の手前で止まっている人は、たぶん少なくありません。
婚活で「顔に自信がない」と検索すると、出てくる答えはだいたい似ています。写真はプロに頼みましょう、笑顔が大事です、内面を磨きましょう。どれも間違ってはいないと思います。ただ、それを読んだところで、フォルダを開き直す気にはならないんですよね。
写真を選ぶだけで、三十分も止まってしまいます。
私も、迷った末に最初の一枚へ戻していました。
この記事で書くのは、あの選べない時間に何が起きているのか、のほうです。私自身が、そこで長く止まっていました。
① あの三十分は、顔を選んでいた時間ではありません
写真を選んでいるとき、見ているのは自分の顔のようで、たぶん違います。
明るさを一段上げてみて、やっぱり戻す。少し顔を寄せて切ってみて、やりすぎかなと引く。そのあいだずっと、頭の中にいるのは知らない誰かです。この角度はどう思われるか。これは盛りすぎに見えないか。基準が、最初から自分の外側にある。
だから疲れます。顔の良し悪しを決めているのではなく、まだ会っていない誰かの採点を、自分で代わりに想像し続けているからです。三十分かかったとしたら、その三十分ずっと、見られる側の席に座っていたことになる。
そしてもう一つ。プロフィールの写真は、実質そこ一枚で入口が決まります。だからその一枚に、自分の全部を背負わせることになる。この一枚で決まると思うから選べない。選べないから送れない。送らないから、何も起きない。顔の話をしているつもりで、止まっているのは行動のほうです。
これは、顔立ちの問題ではありません。座らされている席の問題です。
② 私も、一枚が選べませんでした
婚活を始めたとき、私も同じところで止まりました。
何十枚も見比べたんです。これは盛りすぎかな、でも自然すぎると誰にも興味を持ってもらえないかな、と考えているうちに、三十分以上経っている。散々迷って、結局いちばん最初の写真に戻すことも、よくありました。
友達に「この写真、どう思う?」と何度も聞きました。一度ではありません。何度もです。今になると、聞きたかったのはたぶん写真の感想ではなかったんだと思います。
あの往復に終わりがなかったのは、正解を知っている人が、どこにもいなかったからです。
③ 比べていたのは、顔ではありませんでした
同年代の女性のプロフィールを見ると、みんな素敵に見えました。
私なんて普通だな、と思ってしまって。
その比べ方だと、比べる相手がいなくなりません。
「私なんて普通だな」と思いました。「もっと可愛ければ、違ったのかな」と考える日もありました。そのうち、自分からいいねを送れなくなった時期があります。どうせ断られるかも、と思うと、指が止まるんです。マッチングしても「期待されるほどじゃないかも」と不安になって、会う約束を先延ばしにしたこともありました。
顔が理由で断られた、という出来事があったわけではありません。まだ何も起きていない段階で、先に自分で引いていました。減っていたのは自信ではなく、動く回数のほうです。
①で書いた「一枚に全部を背負わせる」が、ここでも効いていました。
④ 「盛りすぎ」と「自然すぎ」の正解は、たぶんありません
加工はどこまでならいいのか。この問いに、私は答えを持っていません。
盛りすぎれば会う日が怖くなるし、素のままだと埋もれる気がする。どちらにも理屈があって、だから決まらないんです。答えの出ない問いほど、いつまでも粘れてしまうんですよね。
一つだけ言えるのは、この問いを解いても次の問いが来る、ということです。写真が決まれば自己紹介文が気になる。自己紹介文が決まれば、返信の速さが気になる。「どう見られるか」を軸にしているかぎり、点検する場所は無限にあります。
私の場合も、正解が見つかって終わったわけではありませんでした。
⑤ 無料相談で言われた、ひとこと
婚活を一度休んだあと、結婚相談所の無料相談を受けにいきました。入会するかどうかは、そのときは決めていませんでした。
そこで言われた言葉が、今も残っています。
写真も大事だけど、それだけで結婚相手は決まりませんよ。
たったそれだけです。慰められたわけでも、写真を褒められたわけでもありませんでした。
そのとき、費用の説明は最後にありましたが、強く勧められることはありませんでした。一度持ち帰ってください、と言われて、その日は帰りました。
結局どの写真がいいのか、いつまでも決まりません。
私はその迷いのせいで、会う約束まで先延ばしにしていました。
⑥ 「完璧に見せよう」から、「ちゃんと伝えよう」へ
そのあと、写真に対する構えが変わりました。
「完璧に見せよう」ではなく、「今の自分をちゃんと伝えよう」。それだけの違いです。顔が変わったわけでも、急に自信がついたわけでもありません。
伝えるのが目的なら、基準は自分の側に戻ってきます。これは今の私に近いか、近くないか。それだけなら、三十分は要らないんです。
写真の出来で決まってしまう場所ばかりでは、たぶんありません。選ぶ軸を「どう見られるか」から「何を読んでもらえるか」に移すだけでも、消耗の量は変わります。
※見せ方より先に、場所の話をしています。
→ 写真で足が止まっている人へ
よくある不安(Q&A)
Q. 写真は、プロに撮ってもらったほうがいいですか?
頼んでもいいと思います。ただ、頼めば迷いが消えるかというと、そうとは限りません。プロに撮ってもらった何十枚の中から一枚を選ぶ作業が、また待っているからです。迷いの正体が枚数ではなく基準のほうにあるなら、先に基準を決めたほうが早く終わります。
Q. 加工は、どこまでならしていいですか?
線引きの正解は、私も持っていません。目安にするなら、会った日に「写真と違う」と自分が思わないかどうか、くらいだと思います。私は初めて会う日、毎回そこが不安でした。その不安が小さい範囲なら、迷わなくていいと思います。
Q. 自分からいいねを送れません。おかしいですか?
おかしくありません。私も送れない時期がありました。断られるかも、と思うと指が止まるんです。ただ、送らないかぎり、その先は始まらないのも本当だと思います。もし一件だけ試すなら、「選ばれそうな人」ではなく、プロフィールを読んで話が合いそうだと思った人にしてみてください。基準が自分の側にあると、断られたときの受け止め方も変わります。
Q. 会う前になると怖くなります。
自然なことだと思います。私も「写真と違うと思われたら」と、毎回緊張していました。ただ、相手も同じことを考えていることが多いです。写真は入口でしかなくて、会ってからのほうが長い。そう思えると、少しだけ楽になります。
顔に自信がないまま婚活していい、と私は思っています。自信がついてから始める人のほうが、めずらしいと思います。
どうかこれだけ、覚えていてください。あの三十分が長引いたのは、一枚で決めようとしていたからです。
背負わせる荷物を下ろすと、写真は、ただの入口に戻ります。
写真を選べない夜の先で、結婚そのものが遠のいていきます。
写真で見られる側の緊張とは別に、相手を確かめる側の負担もあります。相談所に移って、確かめる仕事が減ったとき。
原因を自分の顔に探していた時間が、そのまま疲れになっていました。
写真ではなく年齢のほうが気になっているなら、引っかかっている場所が少し違います。若く見せようとしている自分が嫌になるなら。