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「今回はご縁がなかったと思います」。

それだけの短い文章を、下書きのまま何度も読み返して、なかなか送れない。そんな夜は、ありませんか。

相手は、悪い人じゃない。むしろ、ちゃんとした、いい人。

だからこそ指が止まって、「これを断る私って、わがままなのかな」と思ってしまう。

もしあなたが今、断りのメッセージの前で固まっているなら。

あるいは、断ったあとの罪悪感で「私、いい人ばかり断って、どこかおかしいのかな」と自分を責めているなら。

少しだけ、私の話を聞いてもらえたらうれしいです。

私はマッチングアプリで実際に12人以上の人と会って、何度も、この「断る罪悪感」と向き合ってきました。

① いい人なのに、また会いたいと思えない

窓辺のカフェの丸テーブルに2つのコーヒーカップが残り、椅子が1脚少し引かれているイラスト

正直に言うと、これが私の婚活でいちばん多かった悩みでした。

会ってみると、嫌な人じゃない。話し方も丁寧で、仕事もちゃんとしていて、こちらを気遣ってくれる。文句のつけようがないんです。

それなのに、別れて家に帰る途中、「また会いたいな」という気持ちが、どうしても自然に湧いてこない。

最初のうちは、そんな自分がすごく嫌でした。「こんなにいい人を、なんで私は好きになれないんだろう」「もしかして、私、理想が高すぎるのかな」って。

いい人だと分かっているのに、心が動かない。

その事実が、そのまま「やっぱり私の理想が高いんだ」という自己採点にすり替わっていく。あの感覚を、今でもよく覚えています。

あなた

文句のつけようがない人なんです。それなのに、心が動かなくて。

ひなた

その「それなのに」を、私も何度も飲み込んできました。

② 断りたくなるのは、理想が高いからじゃない

机の上に長さの違う2本の木の定規が並び、短いほうには目盛りの代わりにハートの印がついているイラスト

でも、たくさんの人と会ってきた今なら、分かることがあります。

「いい人かどうか」と「また会いたいと思えるかどうか」は、別のものさしなんです。

プロフィールが申し分ない人でも、会ってみたら自分の話ばかりで、時計に目がいってしまうことがある。

逆に、メッセージでは少し堅そうだった人と、会ってみたら気を張らずに言葉が続くこともある。

会って心が動くかどうかは、相手の良し悪しだけでは決まらないんですよね。

だから、いい人を前にして気持ちが動かなくても、それは相性がそうだった、というだけのこと。「この人とは違ったな」という、あなたの心の正直な返事です。断りたくなった自分を、責めなくて大丈夫。

③ 私が「断るかどうか」を決めた、たった一つの基準

テーブルに開いた何も書かれていない手帳があり、その上にリボンをかけた小さな封筒が置かれ、そばにティーカップがあるイラスト

とはいえ、頭で分かっていても、いざとなると迷います。私もずっと迷っていました。

そんな私が最後にたどり着いたのは、すごくシンプルな基準でした。

「次に会う約束を考えたとき、どっちの気持ちが強いか」。ただ、それだけです。

「次いつ会えるかな、楽しみだな」と思えるなら、会う。

「そろそろ返事しなきゃ、行かなきゃな」のほうが強いなら、お断りする。

条件を並べて点数をつけるのをやめて、次の約束を思い浮かべたときの自分の気持ちだけで決める。

この基準にしてから、少し楽になりました。「相手が悪いから断る」んじゃなくて、「私の心が、楽しみと言わなかっただけ」。誰かを減点しているわけじゃないんだ、と思えたんです。

あなた

自分で決めた基準で断ってしまって、いいんでしょうか。

ひなた

その基準は、誰かに認めてもらう必要のないものです。

④ 「今回はご縁がなかったと思います」——気まずさとの向き合い方

木のテーブルに、小さな押し花を添えた二つ折りのカードと紅茶のカップが置かれているイラスト

断ると決めても、いざ伝えるとなると、やっぱり気まずいし、少し罪悪感もありました。

相手だって、貴重な休みの時間を使って会いに来てくれた。それを自分から終わりにするのは申し訳なくて、私はメッセージを送る前、毎回ちょっと緊張していました。

だから私は、短く送るようにしていました。「今回はご縁がなかったと思います。お時間をいただき、ありがとうございました」。

理由を細かく書くと、相手を傷つけるだけだし、こちらも言い訳がましくなる。

だから理由には触れずに、感謝の気持ちだけは、きちんと伝える。それが、私なりの誠実さでした。

あなた

断りの文面を、何度も書き直してしまいます。

ひなた

私は、途中から書き足すのをやめました。

丁寧に断るのは、ちゃんと向き合った人にしかできないことです。きちんと会って、考えて、そのうえで区切りをつける。そう思えるようになっても、送る前はやっぱり、毎回少し緊張しましたけれど。

⑤ 断ることは、相手を否定することじゃない

テーブルの上に、花柄とストライプの柄の違うティーカップが2つ、少し離れて並んでいるイラスト

もう一つ、当時の私を苦しめていた考えがあります。「断る=相手の人格を否定する」という思い込みです。

婚活のデートって、どうしても品定めの空気になりがちですよね。会って早々、仕事や年収や休日の過ごし方を確認し合う。

私も何度か、「私という人を見てもらっている」というより「条件を確認されている」だけのように感じたことがありました。

でも、あの場は本来、お互いが「この人と続けられそうか」を確かめ合う場所なんですよね。私が相手を確かめていいのと同じように、相手も私を確かめている。

断るのは、相手のすべてを否定することじゃなくて、二人の相性という一点に、「今回は違ったね」と区切りをつけること。それだけの話なんです。

⑥ 「また会いたい」が、自然に湧いた相手のこと

日の差す窓辺の丸テーブルに、2つのレモネードのグラスとクッキーの皿が置かれているイラスト

たくさん断ってきた私にも、「また会いたい」と自然に思えた相手が、ちゃんといました。

何が違ったのか。うまく言えないんですけど、一緒にいて、無理をしなくていい人でした。

沈黙になっても焦らないし、話題を必死に探さなくても、自然と会話が続く。

私にもちゃんと興味を持って質問してくれて、帰り道に「あれ、もう少し話したかったな」と、自然に思えた。

あとから振り返ると、私が探していたのは、条件の良い人ではなくて、こういう「気を張らなくていい人」だったんです。

たくさん断ってきたのは、この感覚に正直でいたかったから。

だから、あなたが今いくつもの「いい人」を見送っているとしても、大丈夫。あなたの「また会いたい」が動く相手は、ちゃんといます。

⑦ 断ることに疲れてしまったら

窓辺の一人がけのソファに編み物のひざ掛けがかかり、横の小さなテーブルにティーカップがあるイラスト

ここまで読んでくださったあなたは、きっと一人ひとりに、ちゃんと誠実に向き合ってきた人だと思います。

ただ、正直に断るたびに気力を使って、また次の人とやり取りを始めて……。

それを繰り返していると、だんだん疲れてしまうことも、私にはよく分かります。

もし「断ること自体に疲れてきたな」と感じているなら。たくさんの人を見比べて選ぶのではなく、一人と会って、ちゃんと考えて、それから次へ。そんなふうに進める形もあります。

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明るい窓辺のテーブルで、スマートフォンを両手で持って画面を見つめ、やわらかくほほえむ女性のイラスト。手前に紅茶のカップ
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よくある不安(Q&A)

Q. 会った相手を断るのは、失礼なことですか?

いいえ。合わないと感じた相手と無理に続けるほうが、お互いの時間にとってもったいないんですよね。

丁寧に、感謝を添えて伝えれば、断ること自体は失礼にはあたりません。

Q. 何回くらい会ってから決めていいものでしょうか?

決まった回数はありません。一度で分かることもあれば、2、3度会ってやっと分かることもあります。

私の基準は「次に会う約束を、楽しみに思えるか」でした。回数ではなく、あなたの気持ちが動くかどうかで大丈夫です。

Q. 断ったら、相手に悪い気がしてしまいます。

その気持ちは、あなたが誠実な証拠だと思います。

ただ、相手も同じように「合う人を探している」最中です。合わないと分かった時点で正直に伝えることは、相手の時間を大切にすることでもあります。

Q. いい人ばかり断ってしまう自分が、少し心配です。

大丈夫です。条件の良い人を見送れるのは、あなたが自分の心の声をちゃんと聞けているからだと思います。

周りに合わせて妥協するより、ずっと誠実な選び方です。

⑧ おわりに——あの頃の私へ

白いカーテンが風に揺れる開いた窓と、窓辺の小さな花瓶に一輪の花がさしてあるイラスト

もし、断りのメッセージの前で固まっていた頃の自分に、一言かけられるなら。

「焦らなくて大丈夫だよ」と伝えたいです。

うまくいかないと、つい「私に魅力がないからだ」と全部自分のせいにしてしまうけれど、本当はただ、まだ合う人に出会えていなかっただけ。

いい人を見送ってきた時間は、自分の心に正直でいようとした、大切な時間でした。

断ることは、あなたの「また会いたい」に正直でいるということ。

その一つひとつの積み重ねの先で、私は、気を張らずにいられる人に出会えました。あなたにも、きっといます。