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飲み会で、初対面の男性から「彼氏いない歴ってどれくらい?」と、軽い調子で聞かれる。とっさに笑ってごまかしたけれど、電車に揺られて帰る道すがら、その一言だけがずっと胸に残っている。「なんであんなこと聞くんだろう」という相手へのモヤモヤと、「私、そんなに不思議がられるほど変なのかな」という自分への落ち込みが、同時に押し寄せてくる夜があります。

私自身には、彼氏いない歴が年齢とそのまま重なった経験はありません。聞かれる場面のつらさを、当事者として知っているわけではないんです。それでも書こうと決めたのは、たった一つの沈黙の理由を、自分の中にばかり探していた五日間のことなら、鮮明に覚えているからです。

アプリで二回会った人から、ある日を境に返信が来なくなったことがありました。既読はつくのに、何も返ってこない。その五日間、私は送った文面を何度も読み返し、自己紹介文とプロフィール写真を選び直し、しまいには自分の体型のことまで持ち出して、返ってこない理由を全部、自分の中に探していました。たった一つの沈黙から、思いつくかぎりの理由を自分の中に探しにいく。あの回路のことなら、よく知っているんです。

だから、あなたが彼氏いない歴を聞かれるたびに小さく身をすくめているとしたら。その入り口のこわばりだけは、私も知っている気がします。

この記事では、聞いてくる相手の心理を整理したあとで、それ以上に大事な「聞かれた自分の側」の話をします。あなたを追い詰めているのは、その質問そのものではない。それが、この記事の芯です。

「なんでそんなこと聞くの?」——聞いてくる男の心理

まず、あなたがいちばん知りたいであろう「相手はどういうつもりで聞いてくるのか」から。結論を言うと、深い意味がないことがほとんどです。

いくつかに分けると、こんな感じだと思います。ひとつめは、単なる話の糸口。恋愛の話は距離を縮めやすい定番の話題で、天気やお店の話と同じ感覚で聞いている人が、いちばん多い。ふたつめは、好意のサインとしての確認。あなたに興味があって、「今、その相手がいるのかどうか」を知りたいだけ、というパターン。この場合、彼氏いない歴の長さそのものを値踏みしているわけではありません。

問題は、みっつめ。ごく一部に、マウントや品定めのつもりで踏み込んでくる人がいます。「え、なんでいないの?」と、答えにくいところまで無遠慮に聞いてくるタイプ。正直に言えば、これは聞くほうの配慮が足りないだけで、あなたが引け目に感じる筋合いはまったくありません。

大事なのは、この三つのどれであっても、共通して言えることがあるという点です。それは、「聞いてきた=あなたに問題がある」ではない、ということ。相手の質問は、相手の関心や無神経さから出ているもので、あなたの価値をはかった結果ではないんです。だから、相手の心理を細かく分析しても、あなたの気持ちはたぶん軽くなりません。次に見たいのは、そこじゃないから。

あなた

うまく答えられる自信がありません。

ひなた

うまく答えなくて大丈夫です。答え方の練習は、しなくていいと思います。

本当にきついのは、質問じゃなくて、身構えてしまう自分のほう

思い出してみてください。あの質問をされたとき、いちばんこたえたのは何だったでしょう。相手の無神経さ、ではないと思うんです。たぶん、聞かれた瞬間に自分の中でヒヤッと身構えて、「どう答えれば、変に思われずにすむだろう」と一瞬で計算した——その反応のほうが、あとあとまで尾を引いていたはずです。

あなた

聞かれるたびに、とっさに言い訳を探しちゃうんです。仕事が忙しくて、とか、たまたま縁がなくて、とか。

ひなた

その「言い訳を用意しなきゃ」という反射こそ、あなたが自分でその歴を"隠すもの"にしている証拠なんです。

聞かれてドキッとするのは、心のどこかで「彼氏いない歴が長いのは、隠さなきゃいけないこと」だと、自分で決めてしまっているからです。誕生日が来るたびに年齢で自分を値踏みしてしまうのと、同じ仕組み。相手が減点しているんじゃなくて、聞かれた瞬間に、自分で自分に引け目のフラグを立ててしまう。

でも、その歴は本当に、隠さなきゃいけないものでしょうか。彼氏がいなかったのは、あなたに魅力がなかったからではありません。真剣に向き合える相手と出会う機会が、まだ巡ってきていなかった。ただそれだけのことを、私たちはいつのまにか「言ってはいけない答え」に仕立ててしまう。(そもそも「彼氏いない歴=年齢」という数え方そのものに苦しんでいるなら、その根っこは彼氏いない歴=年齢がつらいあなたへのほうに書いています。)あなたを追い詰めていたのは、聞いてきた相手ではなくて、その質問に身構えてしまう自分のほうだったんです。

正直に答えていい。言い訳を、足さなくていい

そう気づいてもらえたら、答え方は、実はとてもシンプルになります。

聞かれたら、正直に答えていいんです。「けっこう長いですよ」でも、「ずっといないんです」でも。大事なのは、そこに言い訳をくっつけないこと。「忙しくて」「たまたま縁がなくて」「理想が高いのかも」——こういう補足は、一見すると場をやわらげているようで、実は「これは弁解しなきゃいけないことなんだ」というメッセージを、自分から相手に手渡してしまっています。

負い目のように差し出すのをやめると、不思議と相手の受け取り方も変わります。さらっと「そうなんです」と返せる人のことを、わざわざ減点する人は、そう多くありません。むしろ、取り繕わない態度のほうが、誠実さとして伝わることのほうが多いんです。

もちろん、聞かれてもいないのに、こちらから打ち明ける必要はありません。話したくない相手には「ひみつです」と笑ってかわしてもいい。答えるか、かわすか、それを自分で選べる状態でいることが、いちばん心を軽くします

もし「気持ち悪いと思われるかも」という不安のほうが先に立つなら、その気持ちについては「彼氏いない歴=年齢は気持ち悪い」って本当?のほうでも書いています。

「聞かれるのが怖い」で焦って動くと、空回りする

聞かれるたびに落ち込む夜が続くと、「早くこの状態を抜け出さなきゃ」と焦る気持ちが出てきます。その気持ちは、すごく自然です。でも、焦りに背中を押されて動くと、たいてい空回りします。私も、あの返信に追われて消耗した側だから、よけいにそう思うんです。

アプリをやっていた頃、届いたいいねに応えようとするうちに、やり取りする相手がいつも五、六人になっていました。平日も休日も返信に時間を取られて、実際に会えたのは月に一人か二人。半年続けて手元に残ったのは、疲れだけだったんです。「聞かれて恥ずかしくない自分になろう」と、経験の数を埋めることを目的にしてしまうと、これと同じことが起きます。誰でもいいから、と自分に合わない場所に飛び込んで、そこでまた傷ついて、「やっぱり私はダメだ」と上塗りしてしまう。

だから、順番を逆にしてほしいんです。聞かれても平気な自分になってから動くのではなく、まず、身構えなくていい相手とだけ向き合える場所へ、そっと移る。焦って場数を踏むより、そのほうがずっと近道です。

「何歳までに」と年齢で自分を追い込んでしまうなら、彼氏いない歴=年齢は何歳まで大丈夫?のほうも読んでみてください。

"歴"を探り合わなくていい場所で、出会う

では、身構えなくていい相手とは、どこにいるのか。

彼氏いない歴を軽い調子で聞いてくる人が多いのは、正直なところ、遊びの延長で相手を探している場所です。そこでは、歴の長さが会話のネタや品定めの材料になりやすい。一方で、これから一緒に生きる相手を真剣に探している人は、あなたの過去の歴より、「これからどんなふうに暮らしたいか」のほうを、ずっと知りたがります。過去の交際歴を数えることに、あまり意味を感じていないからです。

これから一緒に生きる相手を探す場では、彼氏いない歴を根掘り葉掘り探り合うより、価値観や暮らし方のイメージを話す時間のほうが自然と長くなります。「経験がないこと」は、隠すものではなく、これから相手とゆっくり関係を育てていける余白として受け取ってもらえたりもする。同じ「アプリ」という名前でも、場所の真剣度がちがえば、そこで飛んでくる質問の中身から変わってきます。

彼氏いない歴は、克服してから婚活に出直すようなものではありません。今のあなたのまま、探り合わなくていい相手と向き合える場所に、立てばいい。それだけのことです。

※アプリ単体の話は、こちらに分けてあります。
聞かれ方が変わる場所を、選び直す

よくある質問

Q. 「なんで彼氏いないの?」と聞かれたら、なんて答えるのが正解ですか?

正解の返し文句は、実はありません。「ずっと縁がなくて」でも「ひみつです」でも、あなたが言いやすい言葉で大丈夫です。大事なのは中身より、言い訳を重ねて弁解しないこと。さらっと答えるか、笑ってかわすか、そのどちらかを自分で選べていれば、それがいちばん自然に伝わります。

Q. 彼氏いない歴を聞いてくる男性は、失礼なんでしょうか?

多くは深い意味のない世間話か、あなたへの好意からの確認で、失礼な意図はありません。ただ、答えにくいところまで無遠慮に踏み込んでくる人がいるのも事実です。もしそう感じたら、それは聞くほうの配慮不足であって、あなたが気にする必要はありません。無理に答えず、話題を変えてしまって大丈夫です。

Q. 正直に長いと言うと、引かれませんか?

思っているほど引かれません。むしろ、恋愛経験の多さより「誠実そう」という印象を好む男性は少なくないという調査もあります。引くかどうかは相手の価値観しだいで、あなたの価値を決めるものではありません。合わない人に引かれるのを恐れるより、引かない人と出会える場所を選ぶほうが、ずっと建設的です。

Q. やっぱり隠しておいたほうが、うまくいきますか?

隠すこと自体は悪くありませんが、「隠さなきゃ」と気を張り続けるのは、あなたが疲れてしまいます。隠すか話すかを選べる状態でいるのと、隠すしかないと思い込んでいるのとでは、心の軽さがまるで違います。まずは、聞かれても平気でいられる相手と出会うことのほうが、隠す技術を磨くよりずっと楽なんです。

最後に

彼氏いない歴を聞かれてドキッとするのは、あなたが臆病だからでも、変だからでもありません。ただ、その歴を「隠さなきゃいけないもの」に、自分でしてしまっていただけ。聞いてきた相手ではなく、身構えるあなた自身が、いちばんその歴を重く扱っていたのかもしれません。

その荷物は、もう下ろして大丈夫です。歴の長さを言い訳する練習を重ねるより、探り合わなくていい相手と出会うほうへ、少しずつ足を向けていけたらいい。

聞かれてうろたえてしまう自分を、まず責めないこと。始まりは、それで十分です。