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大学時代の親友から、「急だけど、結婚することになったよ」とLINEが来た日のこと。私はすぐに「おめでとう!」と打ちました。

それなのに、トークを閉じた瞬間、胸のあたりがザワッとしました。おめでとう、と打ったばかりなのに、心のどこかが、その言葉についていけていない。今ふり返ると、あのとき誰よりも戸惑っていたのは、私自身だったと思います。

もしあなたも、友達の結婚報告に「おめでとう」と返しながら、画面の前でうまく笑えなかったのなら。そして、そんな自分を「私、性格が悪いのかな」と責めているのなら。その気持ちのからくりを、一緒にほどいていけたらと思います。急かしたり、「もっと大人になりなよ」と説教したりする話ではありません。

① 友達の結婚を喜べないのは、あなたの心が狭いからじゃない

友達の幸せを素直に喜べないとき、私たちはすぐに「心が狭い」「性格が悪い」と自分を責めます。でも、それは違います。

もし本当にあなたの心が狭いだけなら、「喜べない自分」に、こんなに悩んだりしないはずなんです。どうでもいい相手なら、心はザワつきもしません。ザワッとするのは、その友達をちゃんと大切に思っていて、それなのに素直になれない自分に、あなた自身がいちばん傷ついているから。喜べないことと、友達を大切に思っていることは、ちゃんと両立します

喜べない自分を責めているその時点で、あなたはもう、じゅうぶん優しい人だと思います。

② 妬んでいるんじゃない。ざわつくのは「私だけ、置いていかれる」気がするから

「喜べない=友達に嫉妬している」と思うと、よけいに自分が嫌になりますよね。でも、あの胸のザワつきの正体は、たぶん、妬みそのものではないんです。

友達の幸せそのものが妬ましかったのかというと、今ふり返っても、そうではありませんでした。ざわついたのは、「みんなが前に進んでいくのに、私だけ、同じ場所に立ち止まっている」という感覚のほうです。友達が一段のぼったことより、自分が動けていないことに、光が当たってしまう。結婚報告は、そのスイッチを押してくるんです。

つまり、あなたが向き合っているのは「友達への嫉妬」ではなくて、「取り残される不安」や「私はこのままなのかな、という心細さ」なのだと思います。相手を引きずり下ろしたいわけじゃない。ただ、自分も置いていかれたくないだけ。そう言い換えると、責める先が、自分じゃなくなりませんか。

③ 私も、親友の「結婚するよ」に、笑顔を作れませんでした

もう少しだけ、私の話を。あの春の報告のあと、結婚のしらせは続きました。婚姻届の写真、結婚式、年賀状の家族写真、次の年には出産の報告。一つひとつ、心から「よかったね」と思いたいのに、そのたびに「みんな前に進んでいるのに、私だけ同じ場所にいる」という感覚が、濃くなっていきました。

いちばんこたえたのは、結婚式の招待状が届いたときです。「次は私の番って、いつ来るんだろう」。そんな言葉が、ふと浮かびました。誰かを妬んでいたわけじゃないんです。それでも、心から「おめでとう」と言い切れない自分がいて、その自分が、何より嫌でした。

当時の私も、きっと今のあなたと、似たところにいました。だから、一つだけ。素直に喜べない自分を責めることだけは、しなくていい。責めたところで、「おめでとう」の気持ちが、増えるわけじゃないんですから。

④ 「おめでとう」が言えない自分を、責めなくていい

素直に祝えないことで、いちばんあなたを苦しめているのは、友達ではなく、「こんなふうに思う私はダメだ」という、自分への裁きだと思います。

でも、感情そのものに、良いも悪いもありません。うれしいと思わなきゃいけない場面で、うれしくなれない。それは、あなたの人間性の問題ではなくて、ただ、あなたが今、余裕をなくすくらい疲れているというサインです。心がくたびれているとき、人の幸せをまっすぐ受け取るのは、誰にとっても難しいことなんです。

だから、「おめでとうと思えない私」を、無理やり「思えるいい人」に矯正しようとしなくて大丈夫。フリでいいから喜ばなきゃ、と歯を食いしばる必要もありません。まず、「今の私は、素直に喜べないくらい、いっぱいいっぱいなんだな」と、その状態のあなたを、あなたが認めてあげること。それが、いちばん最初の一歩です。

⑤ あなたが本当に比べている相手は、たぶん友達じゃない

もう一つ、しんどさを増やしているものがあります。それは、比べる回数が、昔よりずっと増えてしまう環境です。

SNSを開けば、誰かの幸せそうな報告が流れてくる。年末には家族写真の年賀状が届く。友達と会えば、結婚の話になる。昔なら年に数回だった「みんなの近況」が、今は毎日、手のひらの中に流れ込んできます。そのたびに、自分と誰かを、無意識にくらべてしまう。これでは、心が休まる時間がありません。

あなた

「焦らなくてもそのうち」と言われるのが、いちばんこたえます。

ひなた

励ましだと分かっていても、頑張っていない人に見えているのかな、と思ってしまいますよね。

でも、よく考えてみると、あなたが本当にくらべたい相手は、友達ではないはずです。あなたが気にしているのは、「思い描いていた自分」と「今の自分」の距離のほう。友達は、たまたま同じ時期に、あなたの心の傷にふれてしまっただけなんです。だとしたら、まずできるのは、比べる回数を減らすこと。つらい報告が流れてくるあいだは、そっとSNSを閉じてしまっていい。友達を大切に思う気持ちは、その報告からいったん距離を置いても、消えたりしませんから。

⑥ その気持ちを、一人で抱え込まないで

友達の結婚を喜べない――こういう気持ちほど、誰にも言えません。「性格が悪いと思われそう」で、口にできない。だから一人で抱えて、夜にひとり、自分を責める裁判をしてしまいます。

あなた

でも、こんな気持ち、誰にも相談できないですよね。友達にも言えないし、親に言えば「早く結婚しなさい」で終わるだけだし……。

ひなた

そうなんですよね。だから、その気持ちを「私がダメだから」で終わらせないでほしいんです。抱えているのは、あなたが誠実に、幸せになりたいと願っている証拠なんですから。

一人で抱え込まないための方法は、いくつかあります。一つは、この気持ちを、利害のない第三者に話してみること。友達にも親にも言えないことでも、婚活を仕事にしている人になら、案外そのまま話せたりします。私自身、進め方に迷って、困っていることを聞いてもらったとき、頭の中がずいぶん整理されて、それだけでも受けてよかったと感じました。

もう一つは、焦りに飲まれたまま、闇雲に動き出さないこと。「置いていかれる」という不安に押されて婚活を始めると、たいてい、もっと消耗してしまいます。大事なのは、始めるかどうかより、どんな場所を選ぶか、なんですよね。マッチングアプリが全部だめ、という話ではありません。ただ、不特定多数を自分でさばく使い方だと、どうしても疲れてしまう。だから見るのは「始めるかどうか」ではなく、「自分がさばく量が増えないか」のほうです。そこが変わらないままだと、始めてもまた同じところに戻ってきます。

動く気になった日のために、名前だけ置いておきますね。

気持ちが動いた日に開くアプリ

「周りがどんどん結婚していく」という焦りそのものは、こちらでもう少し掘り下げています。

周りが結婚していく。私だけ取り残される気がする夜に

その気持ちより手前に、婚活の疲れがあるとき。

消耗が続くと、感情のほうが鈍くなる

⑦ 喜べなくても、あなたは優しい

友達の結婚を、心から喜べなくてもいい。あなたが冷たいから、では説明がつかないんです。むしろ逆で、あなたの中に、幸せになりたい願いが人一倍あるから。その願いが強いぶん、他の人の幸せが、少しまぶしく見えてしまう。それだけのことなんです。

「おめでとう」を、120%の笑顔で言えなくたっていい。50%の「おめでとう」と、50%の「ちょっとうらやましいな」が同居していても、あなたはちゃんと、友達を大切にできています。喜べない自分を責めるのは、もう、今日でやめにしませんか。あなたはこれまで、じゅうぶんすぎるほど、がんばってきたのだから。

よくある不安(Q&A)

Q. 友達の結婚を喜べない私は、心が狭くて性格が悪いのでしょうか?

いいえ、と言い切れます。心が狭い人は、「喜べない自分」に悩んだりしません。あなたが苦しいのは、友達を大切に思う気持ちと、素直になれない気持ちの、両方が本物だからです。それは狭さではなく、あなたが誠実で、まじめに悩める人だという証拠のほうだと思います。

Q. 「おめでとう」が言えない罪悪感で、友達と距離を置きたくなります。

その距離は、友達が嫌いになったからではなく、自分の弱っているところを見られたくないからだと思います。無理に会って笑顔を作り続けると、よけいに消耗します。今は少し、連絡の間隔があいてしまってもいい。あなたの心が回復すれば、また自然に、その友達を大切にできる日がきます。距離を置く自分を、薄情だと責めないであげてください。

Q. SNSで結婚や出産の報告を見るのが、つらくてたまりません。

それなら、見なくて大丈夫です。つらい時期に、流れてくる報告を全部は受け止めきれません。それが普通です。ミュートでも、アプリを一度消すのでも、方法は何でもいい。「見ない」を選ぶのは、逃げではなく、自分の心を守るための、まっとうな手当てです。少し元気が戻ってから、また開けばいいんです。

Q. こんな気持ちのままで、私はこの先、結婚できるのでしょうか?

大丈夫だと思います。むしろ、今この気持ちにちゃんと向き合えている人のほうが、焦って動く人より、自分に合う相手にたどり着きやすい。私はそう思っています。厚生労働省の統計でも、女性が初めて結婚する平均年齢は30歳近くまで上がっていて、あなたのペースは、少しも遅れていません。大事なのは、「置いていかれる不安」で急ぐことより、消耗しない出会い方を、落ち着いて選ぶことです。

同じ気持ちを、職場での雑談でも抱えているなら。職場では話さないでおいた頃のこと