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仕事から帰ったあなたが、部屋の電気をつける。テレビはつけたけれど、見てはいない。

意味もなくSNSを開いて、他の人の投稿を眺める。

とくに見たいものがあるわけでもないのに、時間だけが過ぎていく。

昼間は平気なのに、夜の何時間かだけ、部屋の静けさが急に気になりだす。ふっと、独りだな、と思う。

私がマッチングアプリを使っていた頃、同時にやり取りしていた相手は、常に5〜6人いました。

あなた

誰かとつながっていれば、埋まると思っていました。

ひなた

同時に5〜6人とやり取りしていた時期がいちばん、すり減っていました。

① 孤独は、夜にだけ来るから厄介なんですよね

同じ窓辺を左右に並べ、左は明るい昼で湯気の立つカップ、右は暗い夜で湯気の消えたカップが置かれ、「昼」「夜」と書かれた図

その孤独が面倒なのは、一日中つらいわけではない、というところだと思います。

あなた

夜になると、急に静かになって、不安になるんです。

ひなた

私もです。日曜の夜がいちばん苦手でした。静かになると、考えなくていいことまで考えてしまって。

あなたの一日は、たぶんこうです。

朝は普通に起きて、仕事に行きます。

日中はやることが次々あるので、ひとりだな、と思う時間がありません。

同僚とランチに行けば笑っているし、週末に友達と会えば楽しい。

まわりから見れば、何ひとつ困っていない人に見えるはずです。

だから誰にも言えない。言ったところで「贅沢な悩みだよ」と返ってきそうで、口にする前に飲み込んでしまう。

そして夜、部屋に戻ったときにだけ、ふと不安が押し寄せてきます。

② マッチングアプリで、いつも5〜6人と同時にやり取り

木の机の上に、閉じたままの白い封筒が6通、扇のように少しずつ重なって並んでいるイラスト

当時、どのくらいのやり取りをしていたのか。

数えられるぶんだけ、書いてみます。

マッチングアプリを始めて、最初はいいねが100件くらい来ました。落ち着いてからも、毎月40〜60件は届いていたと思います。

マッチするのが月に15〜20人。同時にやり取りしている相手は、常に5〜6人。

返信に使っていた時間は、平日で1時間、休日は1〜2時間くらいだったと思います。

私のスマホの中には、いつも誰かがいたんです。返事を待っている人がいて、返す相手がいて、それが毎日でした。

そのうえで、もうひとつ足します。実際に会えたのは、月に1人か2人でした。

③ アプリで毎日誰かに返信していたのに、消耗していました

机の上に、長さのちがう短くすり減った鉛筆が5本並び、そばに削りかすが少し落ちているイラスト

スマホの画面の中に常に5〜6人いて、毎日誰かに返していた。その時期に、私は消耗していました。

しかも、その理由は少し意外かもしれません。

一番疲れたのは、出会えないことではなかったんです。

「はじめまして」「お仕事は何をされているんですか」「お休みの日は何を」。

同じような質問に、同じような答えを返す。それが何人分も、毎日続きました。

結局会いたいと思えず、出会うまでのやり取りが終わらないことでした。

期待して、落ち込んで、また期待して。その繰り返しが、いちばん重かったんだと思います。

いつのまにか「返信しなきゃ」が毎日のタスクになっていて、楽しくて開いていたはずのものが、片づけるものに変わっていました。

④ アプリで相手が何人いても、孤独は埋まりませんでした

丸いテーブルを真上から見た図。椅子が6脚まわりに並び、テーブルの上には湯気の立つカップが1つだけ置かれている

マッチングアプリでやりとりしている相手が多い時期なら、私にもありました。

毎日5〜6人とやり取りして、返事もちゃんと届いていた数か月です。

連絡を取る相手に困っていたわけではありません。

それでも夜になると、同じように独りだな、と思っていました。

夜のあの寂しさは、本当に「独身だから」「誰もいないから」なのか。

この感じ方については、国の調査があります。

内閣府が2026年4月に公表したもので、全国の16歳以上、11,873人が答えています。

孤独を「しばしば・常に」感じる人の割合
  • 全体では4.5%
  • 不安や悩みの相談相手が「いる」人は2.5%、「いない」人は23.4%
  • 誰かと食事をとるのが「ほとんど毎日」の人は2.7%、「ほとんどない」人は17.3%
  • 結婚していない人は9.0%、結婚している人は2.4%

出典=内閣府「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和7年)」

大きく差がついていたのは、まわりに何人いるかではありませんでした。

相談できる相手がいるか。一緒にごはんを食べる相手がいるか。そこで9倍ほど違っています。

私の画面にいた5〜6人は、そのどちらにも当てはまりませんでした。

結婚していない人のほうが高い、というのも、そのまま出ています。9.0%と2.4%です。

ただ、結婚している人にも2.4%はいます。ゼロにはなっていません。

この数字を見て、「やっぱり結婚した方がいいのかも」と感じた人もいると思います。

もしそう思ったなら、そのために何ができるのか。まずはそこから考えてみましょう。

⑤ アプリで同時に何人も相手をするのを、やめました

もつれた細い糸のかたまりから、1本だけがほどけてまっすぐ右へ伸びているイラスト

では私がどうしたかというと、同時に進める人数を減らしました。

そのうえで、結婚を考えている人だけが集まる場所を探しました。それが、私が実際に選んだ道です。

あなた

でも、やり取りする人を減らしたら、出会える可能性まで減りませんか。今でさえ、良い出会いがないのに。

ひなた

そう思いますよね。でも、5〜6人と並行していた月でも、実際に会えたのは1人か2人でした。

会う機会を増やそうとしても、実際に会えた人は増えていませんでした。増えていたのは、毎日の返信のほうです。

⑥ 選ぶなら、出会う人数ではなく出会いの質を

左は小石が山盛りにあふれた器、右は向かい合わせに置かれた2脚の椅子と湯気の立つカップ2つ。「人数」「そのあと」と書かれた図

ここからは、選ぶときの話です。

選ぶ基準を「たくさん出会えるか」にすると、私が消耗したのと同じやり方に戻ります。

増えるのは、実際に会える人ではありません。

増えるのは、途中で諦めて返事がしたくなくなるやり取りのほうです。

私はそのあと、naco-doという相談所に入りました。

オンラインなので、家から使えます。

自分で見比べて選び続けるのではなく、間にサポーターが入って、一緒に進めてくれます。

面談は無料です。

聞くだけ聞いて、やっぱり今は休む、と決めてもかまいません。

話を聞く入口は、無料のLINE登録です。

⑦ やり取りする人を増やす理由は、私には見つかりませんでした

長い木の棚に、小さな鉢植えが1つとじょうろが置かれ、棚の右半分は何も置かれていないイラスト

私に言えるのは、多くの人とやり取りしていたときに、何が起きていたか、という一点です。

起きていたのは、毎日ぶんの返信でした。

だから私は、もう一度その状態に戻ろうとは思いませんでした。

そこから先をどうするかは、あなたが決めることだと思っています。

よくある不安(Q&A)

Q. 独身なのに孤独を感じるのは、おかしいことでしょうか?

おかしくありません。同じように感じている人は、30代の女性にいちばん多いんです。

内閣府の調査で、しばしば・常に孤独を感じると答えた女性は3.7%。年代ごとに見ると、30代が5.7%でいちばん高くなっています。

「独身は気楽でいいね」と言われるぶん、寂しいと口に出しにくいだけだと思います。

Q. 夜がさみしい、と友達に言えません。「贅沢な悩み」と言われそうで。

この話は、言っても受け止めてもらいにくいことが多いんです。相手が悪いわけではありません。

結婚している友達は「早く結婚しなよ」と返したくなるし、独身の友達には、自分の不安として跳ね返ってしまう。

どちらもあなたを傷つけたいわけではなく、返事のしようがないだけです。

Q. 孤独を埋めるために婚活を始めるのは、間違いですか?

動機は何でもいいと思っています。私自身、29歳のときに軽い気持ちで始めました。

気をつけたいのは、始めたあとの進め方です。いいねが届く数ではなく、やり取りしている相手に一件ずつ返し続けて終わらなかったことに、くたびれました。

始めること自体は、止めません。

Q. 一人の時間は好きなんです。なのに寂しいのは、矛盾していますか?

「一人でいるのが平気」と「この先もずっと一人かもしれない」は、別のことです。

今日を気持ちよく過ごせる人でも、この先のことを心細く思うことはあります。